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2012年1月3日火曜日

「永遠の僕たち」を見てきました。

ガス・ヴァン・サント監督作品の、
「永遠の僕たち(Restless)」を見てきました。


大好きな加瀬亮が出演していることもあるけれど、
ガス・ヴァン・サント作品であるということ、
デニス・ホッパーの息子のヘンリー・ホッパーが出ているということで、
期待して見に行った作品です。

良かったですね・・・
素晴らしい作品です。泣けました。良い涙です。

ストーリーもシンプルで良いし、キャスティングも素晴らしかった。

ヘンリー・ホッパーは、とにかく雰囲気があって、
ティーンエイジャーならではの、不安感や、取り残された感、
初めての恋愛に戸惑いつつも、のめり込む様子。

繊細な演技を要求されたと思うんですが、雰囲気もあって、
ホントに素敵でした。

死を迎える彼女は、ミア・ワシコウスカ。
死の悲壮感は全く感じさせないところが、余計に涙を誘う。
透明感があって、積極的にキスをしたり、
これもまさに、このくらいの年齢のティーンエイジャーの女の子を
象徴したような感じ。

加瀬亮は、子供の頃アメリカ育ちというだけあって、
流暢な英語で、主人公にしか見えないという幽霊役。

日本人だからこそわかる、戦時中の、特攻隊の悲しい人生を、
これもまた、悲壮感なく演じてて、素晴らしい演技でした。

この映画は、死を迎える人や死んだ人間には悲壮感がなく、
「生」の状態である人の悲壮感と不安を描いている。

スタイリングも良かった。
洋服、スタイリングなんて、「○○ブランドのくつ」とかそんなものばかり
取り上げられる映画もあるけれど、
本当は、映画っていうのは、

「とある見知らぬ人の生活を切り取って、
その一部を物語をして取り上げる」

ものだから、
「その人」を、いきなりその上映時間内に知るには、
目に見える「服装」っていうのはすごく大事。

その人が、どういう趣味で、どんな色が好きで、どんなこだわりをもっているのか、
スタイリングはそれを表す手段の一つ。

この映画では、ミア演じるアナベルの服がまた可愛かった。

ヒョウ柄のコートに、アイボリーのワンピース。
ビビットなボーダーのワンピースに、ガウンみたいなコート。

ヘンリーホッパーの服は、死に取り付かれた青年を演じているということもあって、
黒をメインにして(黒の服しか無いと本人は言う)
あの年齢にしては背伸びした感のある、カジュアルシャツにジャケット、
そしてフォーマルっぽい格好にブーツと、これまたお洒落。

物語は、ほんとに純粋なラブストーリーで、
もしかしたら、ある程度の年齢の人や、
恋愛にたいして、割り切った考えを持っている人は、
まったくもって共感できないかもしれないけれど、

同性愛者である監督だからこそ、
純粋に描ける男女の青年期の恋愛物語なのかもしれない。

そして「死」や「別れ」というファクターによってしか、
男女の恋愛は、美しく昇華していかないのだということを、
暗に、描いているのかもしれない。

残念ながら、確かに、どんなに熱烈に愛し合っても、
しばらくすると現実が見えてくる。

お互いの容姿が年齢と共に崩れたり、住宅ローンだとか、
セックスレスだとか、
健康問題だとか、
美しい恋愛に溺れている訳にはいかなくなる。

でもやっぱり、せめて自分の「想い」は相手に伝えようよ。

というのが、加瀬亮演じるヒロシが言いたかったことで、
彼は、好きな恋人に想いを伝えることができずに
見知らぬ土地で命尽きてしまった。

何の障害もなく結婚して、家庭を作って、子供が産まれて、
「自分の時間が無いなぁ。今の連れ合いにもうんざり、
子育ても大変。もっと自由になりたいな」と言う人もいるけれど、

想いを遂げられずに、恋愛に溺れた後の現実を
知ることすらできない人が、世の中にはいっぱいいると思う。

だからこそ、家庭生活の中で、何か不満に思ってる場合は
それは幸せの代償なんじゃないかと思って欲しいもの。